乳房再建とは

乳房再建とは、乳がん手術により、一部、または全部の失ってしまった乳房を取り戻す手術です。

再建する時期により、一次再建と二次再建に分類されます。
一次再建とは、乳がん手術と同時に乳房のかたちを再建することをいいます。二次再建とは、乳がん手術をまず行い、時間が経過した後に乳房のかたちを再建をすることをいいます。

また、何回で再建するかにより、一期再建、二期再建という分類もあります。
一期再建とは、一度の手術で乳房のかたちを再建することで、二期再建とは二度の手術で乳房のかたちを再建する（主に一度目の手術はエキスパンダーを挿入する）ことです。

例えば、一次一期自家組織乳房再建とは、乳がん手術と同時に、自家組織で一度の手術で再建をすることを言います。一次二期インプラント再建とは、乳がん手術の際にはエキスパンダーを挿入して、後にインプラントに入れ替えることを言います。二次一期自家組織乳房再建とは、乳がん手術の際は再建は何もせず乳がん手術のみ行い、後に一度の手術で自家組織で再建することを言います。

自家組織再建は、自分の組織を大きく切り取って移植する方法です。
筋肉を温存して脂肪のみを血管付きで移植する穿通枝皮弁（腹部、大腿部、臀部など）、筋肉を使用する筋皮弁（腹部、背中など）があります。
穿通枝皮弁は１回の手術で温かく柔らかく、経年変化で下垂する自然な乳房を再建することが可能です。しかし手術時間が長く、乳房以外に長い傷痕が出来てしまう欠点もあります。

人工物再建は、乳房の形をしたシリコンインプラントを挿入する方法です。
手術時間が短く、乳房以外に傷痕が出来ないことが良いところですが、感染に弱い、被膜拘縮（インプラント周囲にできる被膜が硬くなり縮む現象）を起こす可能性、人工物は劣化するのでいずれ入れ替えが必要になるなどの欠点があります。
また近年では、ブレストインプラント関連未分化大細胞型リンパ腫（BIA-ALCL）の報告があります。現在保険適応になっているインプラントは発生頻度が低いとされているものですが、正しい情報を知っておくことが重要です。
当クリニックでは、インプラントによる乳房再建の手術も行っております。

脂肪注入による乳房再建は、脂肪吸引という方法で血流のない脂肪の粒を取り出し、脂肪の粒一つ一つを移植して再建する方法です。
小さな傷あとで、自分の脂肪で再建できるため、「自分の組織で再建したいけれど、大きく切開する手術や、長時間の手術は怖い」、「人工物には抵抗がある」、そのような悩みを抱える方に、とてもあった再建方法です。
当クリニックで主軸としている再建方法になります。詳しくは「脂肪注入による乳房再建とは」のページをご覧ください。